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道東越冬隊の記録
ナチュラル・アウトドアライフ」2.氷点下の夜の車中泊
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「1ヶ月ほど、夫と一緒に北海道に行くので留守にします」
ご近所の仲良し奥さんや、仕事先の知人、友人たちにそう告げると、みんな珍しそうに、どんな旅行なのかと尋ねてきます。そりゃそうですよね。普通、会社勤めをしていたら、夫婦揃って1ヶ月もの長期旅行なんてなかなかできるものではありませんから。

簡単に夫の仕事や、旅の内容や行き先を知らせると、
「いいなあ、真っ白な北海道に1ヶ月なんて! ペンションとかに泊まるん?」
だいたいそんな質問が返ってきます。
「うーん、違う。ウチのあの車の後ろ、あそこに寝泊まりする」
そういうと、「えっ?」、「うっ!」と返答に困る人がほとんど。

そう、私たち夫婦の北海道旅行は車中泊なんです。

どんなに安い宿でも、ふたりで1ヶ月間も泊まるとなるとそれなりの出費。ただでさえこの期間は仕事を中断し、収入が全くないうえに、写真撮影のフィルム代、現像代など、いろいろとお金がかかります。節約できるのは、宿泊費用と食費。だから車中泊で自炊、という旅になるわけです。

北海道滞在中の宿は、我が家の愛車、三菱のデリカ・スペースギア。たくさんの撮影機材と、自炊道具と、着替えなどなどを積み込んで、さらに眠れるスペースがあること、これを条件に選んだワンボックスカーです。後ろのシートを倒してベッド代わりにしています。

私たちが滞在する頃の北海道の夜は、寒い日はマイナス20度台まで気温が下がることがあります。車は鉄の塊ですから、外の冷え込みはすぐに車内に伝わってきます。眠る時はエアコンを切って、エンジンを止め、まだ車内が温かいうちに寝袋にもぐり込みます。

眠るときの服装は、いちばん下にモンベルの厚手のアンダーウエアの上下、その上に保温性の高い生地でできたボタンシャツとフリースのパンツ。寝袋はモンベルのダウンハガー#0という、チョモランマなどの高所登山でも使用されているというもの。マイナス38度まで対応できるという、羽毛入りのスーパー寝袋なんです。さらにこの上から羽毛布団をかけるとカンペキ! 冷え込まない夜(といってもマイナス10度台ですが)は暑く感じるぐらいです。

朝、目が覚めて、窓を触ってみると、車内の温かい空気が結露して、凍っているのがわかります。ポリタンクに入れた飲料水が完全に凍っていることもあり、まるで天然の冷凍庫。でも、羽毛入りスーパー寝袋&羽毛布団のおかげで、私たちは凍ることはないのです。スゴイ!

高機能アウトドアウエアと羽毛の寝具に感謝。こんな充実したアイテムがあるから、都会っ子の私でも冬のアウトドアライフが楽しめるんですね。

夫がひとりで行っていた頃は、古い薄っぺらな寝袋を二枚重ねで使っていて、服装も貧弱で、かなり寒い思いをしていたそうです。ひ弱な都会育ちの妻が同行することになって、彼は大フンパツしてこのスーパー寝袋やスーパーウエアを揃えてくれたのです。

もちろん、ふたり分一緒に購入。私のおかげで装備がグレードアップしたというわけです。感謝してくださいネ>オット

・・・毎回、旅の最後に屈斜路湖畔の「ぱぴりお」というペンションに一泊して、旅の疲れを癒しています。音楽の流れるダイニングルームで、大きな窓から見えるエゾリスや野鳥の姿を眺めながらの食事は最高。でも、温かいベッドで眠ると、朝起きるのがつらい! 暖房のせいか部屋が乾燥していて、のどが痛かったり、鼻が詰まったりもします。

車中で目を覚ます朝は、寒いけれど不思議と体は調子がいいのです。人工的に温めた部屋で眠るより、こんな環境のほうが体にいいのかなと思います。太陽が昇り、大地が目覚め始める様子を全身で感じることができるのも感動モノ。こんな時間を過ごしたとき、アウトドアライフの醍醐味を実感します。そんなふうに考えることにしたら、不健康な都会暮らしに染まっていたインドア女の私でも、ごく自然に行ってみようという気持ちになれたのです。

(2000.11.18配信「FINE NEWS」掲載)