3度目となった今年の「道東車中泊」は、要領もだいたいわかりリラックスして楽しめたような気がします。撮影の合間には、いろんな遊びを楽しみました。一番思い出に残っているのが、氷に穴を開けて釣りをするアイス・フィッシング。今回はそのお話です。
1月も半ば頃になると、ラジオやテレビにワカサギ釣りの話題がよく登場します。週末のレジャー情報として紹介されるのです。温暖化が進んだ昨今、本州では真冬に厚く氷の張る湖は少なくなってきたとか。氷上でのワカサギ釣りは人が歩いてもびくともしないくらい厚い氷の張る、寒い北海道でなければ楽しめない釣りのスタイルなんですね。
せっかく北海道にいるのだから、やってみよう。そう思い挑戦してきました。
『はじめての人でも簡単にできます。道具は貸してもらえます』というテレビでの紹介を信じて、私たちが用意していったのは塩と唐揚げ粉、コープで見つけた100円の小さな鍋。釣りに行く前から気分はすっかり大漁! その日のお昼ごはんにする計画です。
「釣れたワカサギを手にいっぱいのせて、写真を撮ろう!」
「買い取ってくれるらしいから、たくさん釣って売ってモトをとろう!」
受付のおじいさんにお願いして、釣り竿の用意やエサの付け方を教えてもらいました。「初めてなんですけど、釣れますかねぇ」と聞いた夫に、「さぁぁ」という返事。あれれ、簡単じゃないの? ちょっと心配。
湖面へと向かい、まず目に入ってきたのは、白い氷の上にたくさん立つ、小さな色とりどりのテント! 緑のキャンプ場の中のテントもきれいですが、白い氷の上のテントはさらに鮮やか。これから楽しいことがはじまるぞ、とわくわくした気持ちになります。
地元の皆さんはさすが準備も万端です。ソリに道具をのせて氷の上をひっぱって運んでいます。乗っているのは釣り道具とテントだけではありません。椅子にクーラーボックス、コンロなど。そしてあちらこちらからいい匂い。釣れたてのワカサギといっしょに持参した肉や野菜を焼いて楽しんでいます。
さて、夫が慣れぬ手つきで氷の穴開けに挑戦しました。受付で借りた、らせん状の刃のついたドリルをぐるぐる回して、氷を丸く削っていくのです。これが初心者にはなかなか難しい。苦戦していると、近くにいた人が見かねて開けてくれました。
夫が数分頑張っても開かなかった穴が、数十秒で開いてしまったのです。
「レンタルのドリルは歯が悪いから、なかなか開かないんですよ」
なんと。地元のみなさんは「マイドリル」をお持ちなのです。
ワカサギは回遊魚で氷の下を群になってぐるぐると回っているのだそうです。回遊コースに釣り糸を垂れることができたら、あたり。おもしろいほど釣れるのだそう。でもコースではないところだと、待てど暮らせど全く釣れないのだとか。ド素人の私たちが適当に選んだこの場所では、果たして・・・
時間にして3時間ぐらいかな。約40匹ほどのワカサギが釣れました。このうち私たち夫婦が釣ったのはごくわずかでして・・・ほとんどは、そこで出会った帯広から来たという小学校2年生の男の子の釣果なのでした。
人なつっこいその男の子は、私たちが何も知らないとわかると、いろいろと教えてくれました。
「ワカサギがかかったら釣り竿がこんなふうになるからね」
などと、竿を上げるタイミングを教えてくれたのですが、言われたとおりにしているつもりでも、かかっていないんですねー。ところが、彼が「あ、きた」といって竿を上げると、2〜3匹かかっているんです。小学生の彼に「きてるよ」と言われ「うそぉー、きてないよぉ」と上げてみるとかかっていた、ということもありました。
はじめっからうまくできるものなんてないか、と当たり前のことを悟った私たちでした。同時に「自然を相手に楽しく遊べるってステキなことだな」と思いました。これまでにも何度も書いたような気がしますが、自然のなかでうまく遊んでいる北海道の人たちは、本当にかっこいい。小学2年生の男の子が、大きくたくましく見えました。
氷の上に放置しているうちに自然冷凍された、約40匹のワカサギを持って、ねぐらの道の駅に戻り、駐車場のすみっこで唐揚げにして食べました。5〜6センチと小さなワカサギでしたが、とっても美味しかったですよ。自分たちで釣ったという充実感も、味付けのひとつだったことは、間違いありません。
※出かけたのは広尾郡大樹町のホロカヤントウという湖(地図には沼とあります)。
すぐそばに、太平洋を眺めながら入ることのできる晩成温泉があります。入漁料は大人ひとり700円。釣り竿などは一式揃いますが、買い取りです。ドリルは無料レンタルできます。